弁護士に支払うお金について

Q 弁護士に委任する際に、依頼人が弁護士に支払うお金について教えてください。

 

A 依頼人が弁護士に支払うお金には、①着手金、②報酬金、③実費、④日当があります。このうち、事件を依頼する際に支払うのは、着手金と実費(概算額)です。

 

Q 着手金とはどういうお金ですか。

 

A 依頼人が弁護士に事件を依頼(委任)する際に、弁護士に支払うお金です。通常、経済的利益に基づいて計算します。

 

Q 着手金を計算する際の経済的利益とは何ですか。

 

A 依頼人がその裁判等で獲得する最大限の金額です。例えば、依頼人が相手方に対して300万円の損害賠償請求訴訟を提起するなら、300万円が経済的利益になります。また、逆に依頼人が300万円の損害賠償請求をされている場合でも300万円が経済的利益になります。

 依頼人の請求が金銭以外の場合には、特別な方式で依頼人の経済的利益を算定します。これは法律相談の際に、弁護士に個別に尋ねてください。

 また、着手金は事件毎、審級毎にいただくのが一般です。

 

Q 事件毎、審級毎とはどういうことですか。

 

A 事件毎とは、一般に裁判所に審判を求める事項ごとということです。例えば、離婚の裁判と離婚までの婚姻中の婚姻費用の分担とは別の事件になります。離婚の裁判の中でも、離婚自体の求めと慰謝料、財産分与、養育費、子の親権、子との面会交流、年金分割の分割割合の指定は、それぞれ別事件です。

 また、建物収去土地明渡請求と建物明渡までの賃料相当損害金の支払い請求も別事件です。

 審級毎とは、最初に弁護士に支払う着手金は一審のみの着手金ということです。一審判決が出て、それに対して不満で控訴する場合の控訴審については、一般に別途控訴審についての着手金がかかります。ただ、この点については、柔軟に運用することが多いのが一般です。

 

Q 着手金を分割払いすることはできますか。

 

A 着手金は事件の着手の際に弁護士が依頼人から受けるお金ですので、原則として一括払いです。ただし、事件の性質によっては分割払いについても検討の余地もありますので、法律相談の際に弁護士に個別にお尋ねください。

 

Q 報酬金とは何ですか。

 

A 事件終了時に依頼人が弁護士に支払うお金のことです。通常、依頼人の経済的利益に基づいて算定します。

 

Q 報酬金算定の際の依頼人の経済的利益はどのように計算しますか。

 

A 依頼人の請求あるいは請求を受けているのが金銭請求のケースでは、依頼人が原告(請求する側)の場合、依頼人が得た勝訴判決の金額が経済的利益になります。逆に、依頼人が被告(請求されている側)の場合、依頼人が免れた金額(例えば、300万円の裁判上の請求をされて、裁判所が200万円を認めた場合は、差額の100万円が経済的利益)が経済的利益となります。

 金銭請求以外のケース(例えば、建物収去土地明渡請求など)では、特別な方式で依頼人の経済的利益を算定します。個々のケースでどのように算定するかは、法律相談の際に弁護士に尋ねてください。

 

Q 実費にはどのようなものがありますか。

 

A 訴訟を提起する際に裁判所に納める印紙代、郵便切手代、交通費、登記や戸籍などを役所から取り寄せたり、病院からカルテを取り寄せたりして証拠を収集する際にかかる費用などです。

 

Q 実費については、依頼人は弁護士にどのように支払いますか。

 

A 着手時に一定額を予納していただくことになります。その額は、裁判所に納める金額(印紙代と郵便切手代)を除き、だいたい1万円~2万円程度です。

 

Q 日当とは何ですか。

 

A 例えば、弁護士がその事件の解決のために他所に出張に行ったり、遠い裁判所に出廷したりすることがあります。

 

Q 法テラスとは、どういう機関ですか?

 

A 収入が少ない人が弁護士に依頼する場合に、弁護士に支払う着手金を立て替えて支払ってくれる団体です。法テラス利用者は、法テラスが立て替えて弁護士に支払った着手金等を毎月5千円~1万円、法テラスに分割返済します。

Q 貴事務所で法テラスを使えますか?

 

A 収入要件・財産要件を満たせば、使うことができます。